Monthly Archive: 6月 2008

「虹の星」


いよいよ今週水曜日から高砂淳二写真展『虹の星ーThe Rainbow Planet』が
新宿のコニカミノルタプラザのギャラリーで始まる。
今回の写真展は小学館から発売される高砂さんの写真集
『虹の星』の発売を記念したもので、高砂さんが世界中で撮られた
虹の写真を中心に展示されている。
僕は光栄なことに、この写真展の音響デザインを担当している。
高砂さんは本当に僕のあこがれの写真家で、いつも高砂さんと
一緒に仕事が出来たらと思っていたので、こうやって実現した
ことが本当に嬉しい。
今回はふたつの隣り合わせのギャラリーで展示されるのだが、
それぞれに別のシーンの自然音を流して、立体感と臨場感を
演出しようと思っている。
またスピーカーは一昨年の東京国際フォーラムのイベントでも
サポートしていただいた、田口製作所の新しいモデルを提供して
もらっている。この田口システムで僕のバイノーラルで録った
自然音を再生すると、本当に驚くほどの臨場感が再現出来る。
【 写真展『虹の星』】
会期:7月2日(水)〜 22日(火)
時間:10:30〜19:00
場所:コニカミノルタプラザ・ギャラリーB&C
入場料:無料
*アクセスのご案内はこちら
   *   *   *   *

また、7月5日(土)には高砂さんと僕のトークライブも開催される。
これも参加費無料なので、ふるってご参加下さい。
会場の都合で着席出来るのは80名限定なのだが、立ち見も出来るので、
のぞきに来て下さい。
高砂さんも僕も自然を相手に仕事をしている仲間なので、お互いの
違った立場から自然の話なんかが出来たらいいなと思っている。
【 高砂淳二 X ジョー奥田 】<トークセッション 「美しき地球の記憶」>
日時:7月5日(土)14:00〜
場所:コニカミノルタプラザ・ギャラリーC
定員:80名
参加費:無料
そんなわけで、自然音に包まれながら高砂さんの素晴らしい自然の
写真を堪能出来る素敵なイベントなので、是非足を運んでいただければと思う。
   *   *   *   *
*高砂淳二さんのサイト
*コニカミノルタプラザのサイト
*田口製作所のサイト

綾町録音・最後の日

今朝も大森岳の森に入った。宿を出たのが午前3時すぎ。現場に着いたのは
4時前頃だったろうか。昨日お天気が良かったせいか、今日は落石も倒木も
なく、スムーズに林道を登ることが出来た。途中、5,6頭の鹿の家族や、
車に驚いて走り出すウサギを見る。さて、お気に入りのポイントに車を
停め、エンジンを切って耳を澄ますと、、、本当に静か。驚くほど。
あれ〜? ミミズクもいないな、、、それどころかなぁ〜〜んにも鳴いていない。
辛うじて所々で虫が鳴いているくらいだ。あたりはまだ真っ暗。
ふぅ〜む、このあたりのこの季節の夜は本当に静かなんだな、と思いつつ、
一番鳥が鳴きはじめる前にと、セッティングを始めたらアクシデント。
レコーダーの電源が入らない。電池を入れ替えたりひっぱたいたりしたが、
いっこうに立ち上がる気配がない。
すぐにサブのレコーダーとして持ってきていたSONY のPCM-D50に切り替える。
うっかりズボラをかまして、キャノン入力アダプタを持ってきていなかったので、
マイクはOKM-II で録ることにした。これがなんと身軽で自由なことか!
ポジションの移動も楽々。改めてこのシステムの最大の利点であるフットワーク
の軽さを痛感した。
最後には面白がって、歩き回ったり頭を左右にパンしてみたりして遊んだ。
いつものシステムとの違いは、自分の耳にマイクを入れているため、ヘッドフォンで
モニター出来ないこと。実際の耳で聴いた音と、録音される音には大きな
違いがある。それを確認しながら録るためのモニターなのだが、それが出来ない。
その違いを想像しながら録るしかないわけだ。
もうひとつの違いは、呼吸、咳、かすかな衣ズレすらひろってしまうので、
完全に自分の存在を消すくらいの状態でいなければならない。
でもこれはいつものことなので、それほど苦ではなかった。
今日の綾の森は本当に面白かった。綾の森は野鳥の宝庫と言って良い。
ありとあらゆる日本の野鳥達が生息している。その個体数も、ものすごく豊富だ。
それらが順番に鳴きはじめる様子は本当に楽しい景色だった。
そうこうしているうちに、ぽつりぽつりと雨が落ちてきた。
ちょうど頃合いも良いので山を降りることにした。
里に降りた頃にはものすごい雨になっていた。まるで綾町での録音の終わりを
待っていてくれたみたいに。
今回の作品は近々に発表しますので、どうかお楽しみに!

夜の森

aya_moon.jpg
深夜の山道で迷った。
お気に入りのスポットである大森岳の林道に向って山道を走っていたときのこと。
いつまでたっても入り口が見つからない。あれ〜、おかしいな、、、と思って
いるうちに、通行止めの標識が出てきた。あれ〜? 行き過ぎたのかな?
そんなわけないのに、、、一瞬状況が判らなくなったのだが、ともかく前へは
行けないので、来た道を戻ることにした。
すると5分も走らないうちに、別の通行止めの標識とバリケードが!
えええ〜〜〜??
ここでもうかなりパニック。あたりは真っ暗。民家も当然ない。
さっき通って来た道なのに、、、なぜなぜなぜ。。。??
まるでホラー映画じゃないか。トラップされたのか?ええ〜〜?
もう分けがわからなくなって、さらにパニック気味。
もう一度、最初の通行止めのところまで戻ろう。
やっぱり通行止めだ。ええ〜〜〜、、、どうすりゃいいんだろ!?
ここでよ〜〜〜く考えてみよう。
最初の通行止めにぶち当たった時には気がつかなかったが、戻りはじめた時に、
二つに別れる道があったな。あっちから来たんだ、きっとそうだ。
もう一度来た道の方向に戻ると、さっきは真っ暗だったので気がつかなかった
のだが、上に上がっていく道があった。あ、これだ! こっから来たんだ。
お願い! そうだと言って! と言っても誰もいない。
こんなときにフリッツはあまり役に立たない。
恐る恐るその上に上がる道を行く。う〜ん、、ホントこの道だったっけ?
しばらく行くと、すぐに大森岳へ昇る林道の入り口が出てきた。
あれ〜〜? さっきあれほど注意しながら行ってたのに、どうして
見逃してしまったんだろう、、、まあいいや。ともかく行こう。
いやぁ〜、良かった良かった。
といっても、真っ暗だ。夜の森は本当に怖い。
林道の入り口のゲートを開け、ゆっくりと登りはじめる。
すると今度は道のどまんなかに倒木があるじゃないか。
昨日はなかったぞ。それも見事に道の端から端までふさいでいる。
ちぇ、またかよ、降りるよ、降りるよ。動かすしかないからね。
マムシがいるから、足下によ〜く注意しながら車から降り、
松の木を動かそうとすると、、、
aya_matsu.jpg
これがまたウンともスンとも動かない。倒木じゃなくて、生えてた木が
根元で地滑りして倒れてきているのだ。つまり、根っこはついたまま。
おいおい、頼むよ、、、テコの原理を利用して、先っぽの方を持って押す。
じりじり動き始めるが、根っこがしっかりしている所為かめちゃくちゃ
重たい。やっとのことで車が通れるすき間を作って、なんとか通れた。
それにしても、夜の森はこわい。
aya_joe.jpg
*恐々録音する僕

綾町録音日記


*早朝、霧に煙る大森岳
昨日は夜中じゅうずっと小雨が降っていた。夜明け前、ダメモトで大森岳へ。
夜が開ける頃雨があがった。すると、鳥達が嬉しそうに鳴きはじめた。
来て良かった。小1時間ほど録音して下山する。
それから川中キャンプ場周辺へ。綾北川もそうだったが、この雨続きで
上流にあるダムが放流していて、川の水位が上がり、水量もえらく多い。
そのため、川の音はかなり荒々しく、あまり色気がないので録らずに帰る。
夜は綾の名士、絹の手紬染織をされ「現代の名工」と称される秋山眞和先生と食事に。
外で軽く食事をし、先生のお宅に場を移し飲んだ。翌朝早いのでと早々に帰宿。
今朝はようやく雨があがった。夜明け前に大森岳へと向う林道に入る。
暗い時間の林道はやっぱりちょっと怖い。何ヶ所かに落石があり、
岩を移動させながらゆっくりと進む。途中大きな木が道をふさいでいた。
昨日は無かったので、昨夜落ちてきたのだろう。これが重くて大変だ。
なんとか脇によせて車を進める。
aya_03.jpg
*林道をさえぎる落石群
お気に入りのスポットを見つけ、マイクをセッティング。
もうすでに早起きの鳥達が鳴きはじめる。宮崎ではなんとアカショウビンが
鳴くのだ。アカショウビンは奄美大島で有名な鳥で美しい声で鳴く。
屋久島にはいなかったので、そこらあたりが北限かと思っていたら、
なんと宮崎にはいた。アカショウビンとウグイスが同時に鳴いている
さまは、なんとも不思議な光景だった。
aya_02.jpg
*三脚をたてての自分撮り

綾町ふたたび 1日目

今日、また綾町に来た。本格的に自然音を収録するためだ。
自然音のロケは必ず単独行と決めている。自然と正対するためだ。
そんなわけで、今回はすべてひとりでの行動となった。
夕方、宮崎空港に降り立ち、レンタカーを借り、カーナビを頼りに
綾町へとひた走る。幸い雨は降っておらず、迷うことなく無事綾町に
着いた。
天気予報によると、明日、明後日共に雨だ。雨の音はそれはそれで
情緒があって良いものだが、やはりお天気の日の音も録りたい。
まあこれも運任せなので、じっくり待つしかなさそうだ。

目が覚めると・・・

朝、誰かの声が聞こえ、目を覚ますとドアのところに人が立っていた。
「ジョーさん、集合時間ですよ!」
状況を理解するのに数秒を要したが、理解したとたんに血の気が引いた。
あらぁ〜〜〜、やっちまったぜ〜〜〜!
あわてて飛び起き、服を着替えた。シャワーなんぞとっている場合では
ないことくらいは寝ぼけた頭でも解ったし、ひげなんぞ剃ってる場合で
ないことも解った。辛うじて歯を磨き、顔を洗い、機材をかついで
集合場所である宿の玄関へと向う。
当然、NSOサイドのスタッフ全員と、Fテレビのプロデューサを始め、
撮影隊全員もそろっていた。
「す、す、、すみませんでした〜〜!」
10分ほどの遅れということで、迷惑は最小限に抑えられた。
ほっとしたとたん気分が悪い。完全な二日酔いである。
あれほど撮影前日は、翌日目が腫れたりしたらイヤだから、飲み過ぎない
ように気をつけようと思っていたのに、、、その配慮と意気込みは、
透明の液体によって、脳から綺麗に洗い流され、思いっきり深酒して
しまったようだ。後で聞くと、解散した2時くらいから、尚ちゃんと
ふたりで僕の部屋で延々飲んでいたらしい。アホですな。
そんなわけで移動中のロケバスの中、頭はもうろうとしているは、
気分は悪いは、のどは乾くわ、、、口をきくことも出来ないほど
ボロボロの状態だった。一方尚ちゃんはサングラスをかけたまま、
一切話をしない。後で全さんにきくと、朝からまったくひと言も
話し出来ないくらい、ヒドイ状態だったらしい。
それでも気合いをふりしぼって、なんとか午前中のロケを終え、
昼食の時間となり、鮎の専門店へ。
そこでなんとあろうことか尚ちゃんは、
「生ビールひとつ」
ええええ〜〜〜〜〜!!? 飲むんかいっ!
「いやぁ〜、もうこういうときは迎えるしかないっす。」
男やなぁ〜〜!
実は心の中では、「うむ、それも一理ある、それもアリだな」と
思ってはいたのだが、身体がイヤイヤしているのが解ったので
思いとどまることにした。だって午後からもずっと撮影があるのだ。
ここで終わるわけにはイカン! みんながボリュームたっぷりの
定食なんぞを食べるのをわき目に、そうめんをむりやり流し込んだ。
ちなみに、尚ちゃん、全さんはざるそばだ。NSOのダメージが
いかに深いかが良く分かる。
午後からも3ケ所を移動しながら撮影は続く。最後のシーンを撮り終えた
頃には身体はもうへっとへとになっているのだが、胃は回復していた。
昼間は酒のことを考えるだけで気分が悪くなるほどだったが、ロケを
終えた頃には、「う〜ん、意外と大丈夫だな」と思えるようになり
ビールが恋しくなっていた。
そして前夜とまったく同じことを繰り返してしまうのだ。
わたくし、学習能力、ゼロ! ということが判明した撮影ロケだった。
それにしても、この顔ぶれで長いツアーなんぞに出かけたら、
確実に肝臓をやられてしまうこと請け合いだ。
*高橋全さんの今回の旅のレポート

*今回お世話になった宿&レストラン、「綾の食卓」

宮崎県綾町

そんなわけで、明日から宮崎県綾町に行ってきます。
他のNSOのメンバーは明後日からですが、僕は先乗りで明日から宮崎県の
綾町に行ってきます。これは某テレビ局の番組収録のためなのですが、
詳しくは収録が成功して、オンエア日が確定したらお知らせしますね。
ともかく、NSOとしては初めてそろっての旅行、ということで、
どんなことになるやら、楽しみではあります。僕と尚之がいるということは、
夜の状況が容易に想像出来ますが、番組収録ということもあり、翌日
目が腫れちゃって、、っていうのは極力避けたいので、そのへんの
自制心がどれくらい機能するか、とても興味深いものがありますな。
そんなわけで、明日からしばらく綾町です。
なりゆき、どうぞお楽しみに!

NSOサイト・リニューアル

new_nsosite2.jpg

ネイチャーサウンドオーケストラの公式サイトが新しくなった。
昨年6月にスタートした新プロジェクト、『The Nature Sound Orchestra』も
ようやく1周年を迎えました。素晴らしいメンバーと、優秀なスタッフ陣に
支えられ、自分の予想を遥かに超える成長を遂げることが出来たことは
何にもかえがたい喜びでした。
ここまでたどり着けたのも、これまでNSOを支持し、応援してくださった
皆様の温かいご声援のお陰と、本当に心より感謝しています。
そんなわけで、NSOのオフィシャルサイトもリニューアルしました。
アドレスも一新しました。「TheNSO.com」
まだまだスタートしたばかりですので、内容もこれからどんどん充実
させていかなければと思っていますが、お暇なときにのぞきに来て下さい。
NSOは現在、ファーストアルバムのリリースにむけて、着々と作業を
進めています。しかも水面下では、ライブ、テレビ出演などなど、
多くの企画がひそひそと進行しているようです。
そんなわけで、皆さんがあっと驚くような情報も、新サイトの方でどんどん
ご紹介していく予定ですので、どうかお楽しみに!
(あぁ〜もっと言いたい!)(^^;)
*NSOのオフィシャルサイト『TheNSO.com』

中田悟さん

中田悟さんが亡くなった。
先日、DVD制作の打ち合わせに、写真家の高砂淳二さんのお宅にお邪魔
した際に、高砂さんから中田悟さんが亡くなられたことを知った。
本当にショックで、身体が硬くなってしまった。
中田悟さんは自然音を録音される方で、数多くの作品を発表されている。
僕が自然音の録音を始めた頃、中田さんはすでにこの分野では確固たる
地位を築いておられた。あるとき日本に来た時に中田さんの作品を
何点か買い求め、ロスの自宅スタジオで聴き、そのあまりに美しい世界観に
驚愕し、また嫉妬したのを覚えている。
それ以来、中田さんは僕の目標であり、ある意味ライバルであったかも
しれない。僕が東京を拠点として活動を始めた頃、僕はいつか中田さんと
肩を並べることが、ひとつの目標であり、それが励みだった。
中田さんと僕のアプローチは、非常に似ている部分と、まったく切り口が
違う部分があった。そこにそれぞれの個性があったのだと思うが、僕は
いつか中田さんにお目にかかって、中田さんのアプローチについて話を
聞いてみたいと思っていた。また、中田さんから僕の作品に対する意見や
感想を聞いてみたいと思っていた。それが僕のひとつの目標だった。
その日が来ることを励みに今まで頑張ってきたように思う。
日本での自然音作品の先駆者であり、正真正銘の第一人者だった中田さん。
自然音の美しさを寡黙に伝え続けた巨星が静かに消えた。
*中田悟さんの公式サイト

マスターディスク完成!

NSOのファーストアルバムのマスターディスクが完成した。
マスターディスクというのは、工場でCDのプレス行程をするにあたって、
マスターとなるディスクのことで、基本は通常のCDRと同じなのだが、
最高品質のCDRを使用し、精度の高いCDRドライブで、一倍速で
書き込むことで、より高い音質のディスクが出来上がる。
作ってくれたのはウチの近所のスタジオ、Spark Kid Sound の
ナベちゃん、こと渡辺くん。忙しい合間をぬって早々と仕上げて
くれたので、早速取りに行った。
う〜〜ん、、なんだか感慨深いの〜〜
そんなわけで、昨日、明治神宮にマスターディスクを持っていき、
「心願成就」のご祈祷をしていただいた。
実はこの日と決めたのも訳があって、それは新月の日だったからなのだ。
新月は新しいものが生まれるにふさわしい日で、これからだんだん満月に
向って満ちていくそのスタートの日なので、NSOのファーストアルバムの
誕生の日にはふさわしいと思い、この日を選んだ。
ちょうど朝から別件の打ち合わせで明治神宮に来ていた、映像クリエーターの
キミちゃんとスタッフのさくらちゃんも同席してくれて、さあ、これで大ヒット
間違いなしだね、なんて言いながら外に出てみると、、、
さっきまでどんより曇っていたのに、お日様が顔を出していた。
なんだか本当に清々しい気持ちになり、身体に「気」が充満するような
本当にいい気持ちになった。
その足で恵比寿にあるレーベルの事務所に行き、マスターディスクを
手渡し、これでやっと自分の大役を果たした気分になった。
もちろん、マスターディスクは明治神宮の手提げ袋に入れ、お札も
一緒に入っている。受け取ったKちゃんも大笑い。
「あの〜 お札も入ってますけど、、、」
「そだよ。そのお札がマスターディスクを守ってくれているのさ。
 そのまま工場に持っていってね。」
 
工場の人もきっとびっくりするに違いない。(笑)