綾町録音・最後の日

今朝も大森岳の森に入った。宿を出たのが午前3時すぎ。現場に着いたのは
4時前頃だったろうか。昨日お天気が良かったせいか、今日は落石も倒木も
なく、スムーズに林道を登ることが出来た。途中、5,6頭の鹿の家族や、
車に驚いて走り出すウサギを見る。さて、お気に入りのポイントに車を
停め、エンジンを切って耳を澄ますと、、、本当に静か。驚くほど。
あれ〜? ミミズクもいないな、、、それどころかなぁ〜〜んにも鳴いていない。
辛うじて所々で虫が鳴いているくらいだ。あたりはまだ真っ暗。
ふぅ〜む、このあたりのこの季節の夜は本当に静かなんだな、と思いつつ、
一番鳥が鳴きはじめる前にと、セッティングを始めたらアクシデント。
レコーダーの電源が入らない。電池を入れ替えたりひっぱたいたりしたが、
いっこうに立ち上がる気配がない。
すぐにサブのレコーダーとして持ってきていたSONY のPCM-D50に切り替える。
うっかりズボラをかまして、キャノン入力アダプタを持ってきていなかったので、
マイクはOKM-II で録ることにした。これがなんと身軽で自由なことか!
ポジションの移動も楽々。改めてこのシステムの最大の利点であるフットワーク
の軽さを痛感した。
最後には面白がって、歩き回ったり頭を左右にパンしてみたりして遊んだ。
いつものシステムとの違いは、自分の耳にマイクを入れているため、ヘッドフォンで
モニター出来ないこと。実際の耳で聴いた音と、録音される音には大きな
違いがある。それを確認しながら録るためのモニターなのだが、それが出来ない。
その違いを想像しながら録るしかないわけだ。
もうひとつの違いは、呼吸、咳、かすかな衣ズレすらひろってしまうので、
完全に自分の存在を消すくらいの状態でいなければならない。
でもこれはいつものことなので、それほど苦ではなかった。
今日の綾の森は本当に面白かった。綾の森は野鳥の宝庫と言って良い。
ありとあらゆる日本の野鳥達が生息している。その個体数も、ものすごく豊富だ。
それらが順番に鳴きはじめる様子は本当に楽しい景色だった。
そうこうしているうちに、ぽつりぽつりと雨が落ちてきた。
ちょうど頃合いも良いので山を降りることにした。
里に降りた頃にはものすごい雨になっていた。まるで綾町での録音の終わりを
待っていてくれたみたいに。
今回の作品は近々に発表しますので、どうかお楽しみに!