Monthly Archive: 5月 2010

満月の清正井

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一昨日の、満月の夜明け頃、明治神宮の清正井で収録した音をプレゼントします。1週間限定です。ファイル名は「Kiyomasa_5.28.aif」、サイズは100MBありますのでご注意。バイノーラル録音ですのでヘッドフォンで聞いて下さい。パスワードは「joeokuda」(半角)です 。ダウンロードはこちらから。http://bit.ly/ba5OE8

*このファイルは6月6日に削除されました。ダウンロードしてくださった皆様、ありがとうございました。

バイノーラルイベントのお知らせ

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ご存知のとおり、昨今メディアでは3D映像の話題で賑わっている。映画アバターに代表されるように、飛び出す立体映像のことだ。この3D映像が注目される流れを受けて、3D音響が注目を集めている。というわけで、にわかにバイノーラル録音が世間の注目を集め始めているようだ。

この流れはバイノーラル録音が大好きで、すべての作品をバイノーラル方式で制作している私としてはとても嬉しい現象だ。というのも、今まで「バイノーラル録音」というとややマニアックな響きがあり、一般の方にはまだまだ認知されていない状況だったので、これをきっかけに、バイノーラル録音された音の面白さを多くの人に知ってもらえるようになればと思っている。

そんなわけで、日本のオーディオ・ビジュアルの聖地、秋葉原から発信する3Dオーディオのイベントが始まることとなり、第1回目の講師としてお招きいただくことになった。急なお知らせで申し訳ないのだが、3Dサウンドにご興味のある方は、是非ご参加願えたらと思う。なお参加費は無料です。

[詳細]

  • タイトル:「UDXオープンカレッジ」3Dイノベーション「バイノーラル技術の可能性」
  • 開催日:平成22年5月26日(水)
  • 時間:15:00〜17:00
  • 場所:秋葉原UDXビル4F 先端ナレッジフ ィールド UDXマルチスペース
  • 参加費:無料(事前にお申し込みください)
  • 募集対象:
    • 音や音響設備、音の環境の他、バイノーラル技術、3D技術、製品に興味のある方、
    • 3Dコンテンツ、バイノーラルサウンド、ナチュラルサウンドの制作や活用、医療や健康、癒し抗疲労への解決策などをお考えの方、
    • 3Dビジネスを模索の方、
    • その他ビジネスアイデアをお探しの方
  • 募集人数:20名

*詳細、参加のお申し込みはこちらから

明治神宮録音日記・その1

5月14日、正確には15日の午前3時、明治神宮北門より入る。昨日より少し肌寒い。ジーパンの下にはヒートテック、上は防寒用のインナー入りのウィンドブレーカーを着てきた。春とは言え、長時間外にいるのはやはり冷えるのだ。

今日の機材はカメラはLumix GH1。かなり軽量のデジイチだ。今日は半分ロケハン的な意味もあるので、機動性を重視して、いつものノイマンのバイノーラルマイクはお留守番。代わりに、OKM-II のバイノーラルマイクとソニーPCM-D50という超軽量コンビ。でもその実力はなかなかのもだ。

北門から参道に入らず、右に折れて宝物殿の方に向かう。今夜は新月。真っ暗だ。点々と光りを灯す灯籠が美しい。宝物殿前の広場に出る。真っ暗とは言え、空が白いので足下は良く見える。広場を抜け、本殿に向う道を行く。夜の景色は前回に結構撮ったので、今日はまっすぐ御苑に向う。
まず先に清正井に行ってみる。静かだ。今日は特に静かだ。早速録音を始める。水音以外にはまったく何も聞こえない。今日の水音はやや細くて柔らかい。水量によって毎回音が違うように思う。

その後、御苑の中を歩き回り、録音スポットを探す。ここに夜来るのは3度目だが、いまだに自分にとってここだ、という場所は見つかっていない。というのも、都会の中にある森なので、外の音がどうしても入ってくる。東側は明治通、北側は首都高を通る車の音が聞こえる。この時間帯の交通量は少ないのだが、時折通るバイクの音が凄まじい。とほほ。

御苑の東側は野鳥が多い。しかし道路に近い。また4時半頃には山手線が動き始める。西側はカラスの縄張りがあり、それはそれでうるさい。その真ん中あたりがいいのだろうと思い、場所を探す。南池の前は空間が開けていて、音が反響してとても美しい音が録れるのだが、同時に音の通りが良い分、外からの音も良く通って来る。今夜は順路の清正井に近い位置で朝を待つことにした。

時計を見ると4時10分前。4時10〜15分頃には一番鳥が鳴き始めるはず。じっと朝を待つ。相変わらずカラスは早起きですでに鳴き始めている。今は繁殖期なので特によく鳴く。カラスにはなんの恨みもないが、カラスの声は好きではない。色気がない。けたたましい。そんな風にしか聞こえない。カラス、ごめん。

4時15分頃、一番鳥が鳴いた。さあ録音開始。だがカラスがあまりにもうるさい。10分ほど録ったのだがあまり美しい音だとは思えなかったので、早々に切り上げて南池の前に移動する。相変わらずカラスがうるさい。まあ、これもありのままの景色だし、と割り切って再び録音開始。同時にビデオも回す。写真も何枚か撮った。朝のピンと張りつめた空気が心地良い。それから御苑東側の茂みの中に移動。野鳥が多い。みんなそろそろ起き始める。録音開始。

10分ほど経過すると、「まもなく1番線に電車が参ります。・・・・」のアナウンス。山手線の始発だ。ついでだからここから聞こえる山手線の音も録っちゃえ。森の中から聞こえるJRのホームのアナウンスはなかなかシュールだ。電車が来る音。アナウンス。電車が動き出す音。森の鳥達の声。都会の景色だな。

それから南池前に移動。空が明るくなってきた。鴨の夫婦が登場。仲良くエサを探している。何度も池に潜る。鴨の潜水時間はとてつもなく長い。初めて知った。背中が真っ青な綺麗なカワセミが飛んできた。ビデオを回す。池のほとりの枝に止まり、そこから池へとダイブを繰り返す。もっと大きな望遠が欲しくなった。

朝5時。本殿で打ち鳴らされる太鼓の音がうっすらと聞こえてくる。もちろん録音。本殿の太鼓がある場所からはずいぶん離れているはずなのだが、音はよく聞こえる。なんだか荘厳な雰囲気だ。この朝の光が差し始める。今日は快晴だ。森の木々に日の光が反射して美しい。池のまわりではいろんな鳥達が鳴き始める。お天気の良い朝は鳥達はよく鳴く。曇っているとあまり鳴かない。小雨に日にはほとんど鳴かない。鳥だっていいお天気が好きなのだ。

たっぷり録音し、撮影の出来たので予定よりも早めに御苑を出る。本当はもっと録りたかったのだが、欲張ってはいけない。これは自然を相手に仕事をするときの鉄則だ。欲張ってはいけない。その日にもらえる分だけもらって帰ればいいのだ。

*この日録音した音はYouTubeにアップしています。

*「明治神宮鎮座90周年記念」DVDは、今年の11月に発売予定。現在、制作を支援してくださる方々の協賛を募集しています。詳細はこちらまでご連絡ください。info@joeokuda.com

タクシーの車内にて

これは3月の頃の話だ。

米軍基地問題に関する報道が過熱していた。僕は元々政治には全く興味がないのだが、僕が『第二の故郷』と心に思う奄美大島群島の徳之島が移転候補地となっているので、ちょっと気になっていた。そんな頃の出来事である。

大阪でタクシーに乗った時のこと。運転手さんがとても感じのいい人で、話し好きだったので、あれこれ世間話をしていた。話題が基地問題になり、彼が言ったことにハッとした。

『あれ、大阪に誘致したらいいんですよ。だって沖縄にだけ押し付けておくのはどう考えたって不公平でしょ。それでなくても沖縄は戦争の時とんでもない犠牲を押し付けられたわけでしょ。めちゃくちゃな話ですよ。だから、各都道府県が持ち回りで、何年かごとに移転させればいいんですよ。その先駆けとして、大阪が手をあげて誘致したらいいんですよ。』

これがどれほどの現実味のある話なのかどうかは別にして、基地問題に関してこんな意見は聞いたことがなかったので、目からウロコものだった。単純に、面白い考え方だなと思った。単純に、とても公平な意見だとも思った。

あの〜・・・誤解しないでくださいよ。僕がもし徳之島の住人だったら当然反対するでしょうし、もし今住んでいる近所にあんなものが来るなんて話になれば、もちろん大反対すると思う。ただその反対運動を見た沖縄の人達は、いったいどんな気持ちになるだろうか。そんななか、日本のどこかにどうしても米軍基地を作らなければいけない、ということを前提とした場合、そのリスクと不都合をみんなでシェアするべきだ、という考えにはとても爽やかなものを感じたのだ。

それにしても、あんなもんいらんだろ。(笑)

(注) 別段、政治談義を展開しようという意思は毛頭無いのでその手のコメントはご勘弁を。

FMブルー湘南

先月、湘南にある「FMブルー湘南」に生出演した。これは僕が支援しているNPO団体、「アースリボン」からのお招きで出演させていただいた。

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このアースリボンという団体は、『未来の「地球」にとって、「環境」、「子どもたち」を大切に育んでいくことはとても大切なことだ』という理念の元に、環境問題に取り組んでいる団体だ。湘南の環境事情や問題などをアースリボンのメンバーの方々が現場の生の声として語っておられるのが大変興味深い。また番組を担当されているパーソナリティーの鈴木初音さんはご自身がシンガーでもあり、奄美大島に何度も足を運ばれているそうで、そこで僕のCDも聞いて下さっていたのが嬉しかった。

生放送の音源とビデオは、以下のサイトからご覧いただけます。ご興味のある方は、是非チェックしてみてください。

夜の明治神宮

4月27,28日の夜中、明治神宮に録音ロケに出かけた。

この日を選んだわけは、28日が満月だったからだ。27日はあいにくの雨。予報ではかなり荒れると言われていてちょっとビビっていたのだが、幸い小雨程度だったので決行することにした。今回は撮影も自分でやるため、いつもの録音機材に加え、カメラと三脚を持っていくことになった。しかも雨。これは正直キツかった。録音機材がいっぱいにつまったバックパックだけで20キロほどの重さがある。それにカメラと三脚が入ったバッグ、そして傘。大丈夫かな、、、、?

代々木の仕事場から徒歩で北門まで。すでにかなりキツイ感じ。鳥居をくぐると灯籠の灯が点々と並び、美しい。玉砂利を踏みながら歩を進める。ときおり振り返りあたりを見回す。そしてまた1歩1歩。聞こえるのは自分の足音。雨音。木の葉が落ちる音。そしてなんとも言えない厳かな静寂。そして闇。この広い境内をたったひとりで占有している贅沢。夜の明治神宮の森は本当に美しい。