奄美の旅(4日目)

9時30分過ぎ、皆既日食が始まる。
肉眼で見て確認出来たのは、9:50頃。
時計の位置で言うと、11時と12時の間くらいから欠け始めた。
森の音に変化はない。
10:40頃、ほぼ半分くらいが欠けている。わお!!
奄美大島のこの日は、残念なことに曇り空。
日食の前半こそ時々晴れ間が出て、日食グラスも役にたったのだが、
それ以降は、薄い雲の向こうに見える、という感じだったので、
肉眼で観察出来た。
森ではときおり吹く風が強くなり、異様な雰囲気だ。
鳥達がときおり不安を示すかのように鳴く。
だんだん薄暗くなってくるにしたがって、鳴いているセミの数が
減ってくる。
どういうわけか、蝶がたくさん現れて、ひらひらと飛んでいる。
2匹の蝶がペアで楽しそうに飛んでいる。
10:50頃、日没後の薄明かりくらいの暗さになる。
森に聞こえるのは、セミと虫の声だけ。セミや虫はあまり明かりに
反応しないのだろうか。温度は一気に下がったように感じる
10:56頃、太陽が消えた。
セミ、虫の声が一気に減った。ただ、訳もわからず鳴いている
セミや虫もいる。あたりは真っ暗。ただ、空が白いせいか、
新月の夜のように暗いわけではなく、あたりは見渡せる。
11:00頃、少し明るくなり始める。
鳴いているセミの数がさらに減っている。風が強い。
11:05、うす雲の向こうから、太陽の光がもれている。
鳥がときおり鳴く。セミ、虫の鳴く数が増えてきた。
そして森に元通りの明るい世界が戻ってきた。
かつてこれが「皆既日食」であるという天文的知識がなかった頃、
この現象を人々はどう受け止めていたのだろう。
きっと腰を抜かすぐらいびっくりしていたに違いない。
「太陽が姿を隠す」などということはまったく無いと
信じ込んでいた人達にとっては、まさに青天の霹靂(へきれき)
と言っていいほどの出来事であったに違いない。
その直後にはきっと太陽に向って手をあわせたに違いない。
「もうこのようなことがありませんように。」
「いつも通りずっと光を与え続けて下さい。」
きっとそう祈ったに違いない。
皆既日食は、「地球は太陽と月の恵みの中で生かされている」
ということを身をもって感じさせられる出来事だった。

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