祭りの後(2)

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*高倉造りの田中一村美術館
いよいよ今日は東京に戻る日。出来れば朝早起きをして、夜明け前の森を
録りに行きたかったのだが、さすがに疲れていたのか、起きたら5時半だった。
それでも、最後に夏の奄美の朝の森が見たくて、車を飛ばした。
森に着いたのは6時半。もうセミが鳴き始めていて、鳥達は出勤してしまって、
あまり鳴いていない。
それでも、朝靄に煙る山を見ているだけで、ああ、奄美に来て良かったと
思える。この森は深い渓谷になっていて、音の響きが最高に美しい。
やはりこのスポットが一番好きだ。自分が奄美で録った音の中で最も
好きな森の音はすべてこの森で録ったものだ。
森に別れを告げ、宿へと戻り荷物を用意し始める。少し早いが宿を出て、
再度、奄美パークへ。途中、戸口の浜や、土浜海岸に寄り道した。
やっぱり奄美の海はいいな〜。エメラルドグリーンに光る海は本当に
美しい。
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*土浜海岸
そして田中一村美術館へ。幸いなことに今日はまだだ〜れもお客さんがいない。
たっぷり、ゆっくり一村の絵を堪能した。そしてまた考え込まされてしまった。
一村の絵を見るたびに、自分のアーティストとしての姿勢を考えさせられる。
どんなに頑張っても、一村のような生き方は出来ないけれど、彼の絵に対する
真剣さ、真摯な姿勢、自分の人生のすべてをそこに賭けた生き方には強い
共感を覚える。そしてまた自分の生き方の姿勢を考えさせられる。
奄美大島は本当に学びの多い島だ。いつも自分の成長に手を貸してくれる。
さあ、そろそろ空港へ向かおう。搭乗券をもらい、さあビール!(笑)
今回はどういうわけか、いつものように奄美を去る悲しさがない。
きっとまたすぐ戻ってくる、という予感と、奄美との絆の深さを
改めて感じることが出来たからだろう。
奄美大島から、鹿児島空港へ。ここで東京行きに乗り継ぐ。
トイレに行って出てくると、そこには見覚えのある顔が。
あぁ〜〜〜〜!!
昨年、朝崎さんのコンサートでご一緒した、ピアニストの吉俣良さんではないか!!
あのNHKの連ドラ、『篤姫』の音楽を担当された方だ。
「いやぁ〜〜、ひさしぶり!でもここでなにしてんの? 仕事?」
吉俣さんは種子島に皆既日食を見に行っていたそうだ。
なんだこの偶然は!
というのは、数日前、田中一村美術館の館長、前村さんと話をしているときに、
前村さんと吉俣さんが高校の同級生だ、って話を聞いてびっくりしていた
ところだった。その話を吉俣さんにすると、
「そうなんだよ〜、前村、この前も奄美パークに呼ばれて、
ピアノ弾かされたんだよね〜」
と言っていた。
僕はJAL、吉俣さんはANA、ということで、搭乗口で握手をして別れた。
最後の最後まで、素敵な出逢いを演出してくれた奄美の旅だった。

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