僕はあるときから自分の肩書きをそれまでの『音楽プロデューサー』から
『自然音録音家』に変えた。英語表記で『Nature Sound Artist』。
それはこれを一生続けていくのだ、という自分に対する決意だった。
自然の音を録音し始めてもうずいぶんになるが、それほどの決意を持ったのは
実はそれほど昔のことではない。
きっかけはいくつかあるような気がするが、ひとつは自然音の本当の美しさに
気がついたことかも知れない。
ある日、ロスの自分のスタジオで、奄美大島で収録した波の音を聞いている
ときのこと。波の音が、それまで聞こえていた感じとはまったく違って聞こえ始めた。
「ん? なんだこの美しさは! すごい!すごすぎる!!」
完璧に美しいと思った。『Perfect=パーフェクト』
本当にパーフェクトな美がそこにあった。
なぜこれほど美しいのだろう? そしてはっと気がついた。
自然音は、神がつくった音だからだ! だから完璧に美しいのだ!!
神が創った音=『God Made Sound』
それから今まで聞いていた自然の音が、まったく違って聞こえるようになった。
今まで長年音楽の世界にいたわけだが、音楽は人間が創った音。『Man Made Sound』。
完璧に近づこうと努力するが、決して完璧にはならない。それが音楽の、人間の美しさだと
思っている。どちらが良い悪いではない。どちらも同じだけ美しいと思う。
そして、この完璧なる美、『God Made Sound』の世界を、より多くの人に伝えたい!
そういう思いが沸き上がってきた。
それがこれを自分の『仕事』と決めたひとつのきっかけだった。