どんぐりを拾うおじいさん


どんぐりを拾っているおじいちゃんに出会った。
いつものように明治神宮を散歩して、杜のテラスでコーヒーを飲んで
参宮口に向ってぷらぷら歩いていると、大きな木の下でしゃがみこんで
何かを拾い集めているおじいちゃんがいた。
「何拾ってるんですか〜?」
と話しかけると、どんぐりを拾っていると言う。
孫や近所の子供たちにあげると喜ぶからね、と言って手のひらに
山盛りの大きなどんぐりを見せてくれた。
「へえ〜〜、そうなんだ、じゃあね〜〜」と言って歩き始めると、
そのおじいちゃんはどんぐりを拾うのをやめて、何かを話かけながら、
一緒に歩き始めた。そして、昔話が始まった。
戦争中のこと、食べ物がなくて辛かったこと、戦争から帰ってきて
なかなか仕事がなくて大変だったこと、自分は大工だったのだが、
勉強をして建築士になったこと、・・・・などなど話は続いた。
お年は88才。お住まいは初台。毎日、明治神宮に来ているらしい。
参宮口に着いた頃、
「記念に写真撮らせてもらってもいいですか?」
と聞くと、帽子をとって深々とお辞儀をされ、「ありがとうございます」
と言った。
じゃあ、またね! と挨拶をして別れようとすると、
「人間、こつこつやってればきっといいことがあるよ」
と言ってくれた。手を握って別れた。

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