そのよん

今日は朝4時集合で朝日を撮るために、島の東側に向けて車を走らせた。
当然あたりはまだ真っ暗。昨夜の焼酎がまだ体内にしっかりと残っている我々
二日酔い3人組は、寝起きのボケも加わって、全員頭はまったくまわっていない。
さて最初に目星をつけていたのは、春田浜海岸。ここは丁度東向きで日が昇って
くる真正面にむいている。なるべく浜に近いところに車を停め、浜に降りてみる。
空は黒い雲で覆われて、風はびゅ〜びゅ〜吹いている。だめじゃん!
明るくなり始める頃まで待ったが、天気は一向に回復せず、雨すらぽつぽつ
落ちてきた。だめだこりゃ。早々に撤収。
ここでビデオ班のふたりは朝飯を食いたい、と言い出した。ふたりとも身体も
大きいしがっちりしている。そんな体格の男だ。もっともな意見だと思う。
しかし、僕は普段朝飯を食わないのだ。まあ、だからといっておまえらも食うな、
というのはあまりにも身勝手なことだと思い、しぶしぶ朝飯案に賛成することにした。
小坂が、「この近くにいわさきホテルありましたよね? あそこで朝飯しませんか?」
どこで調べてきたのか、そういうことだけは良く知ってるな。
いわさきホテルというのは、九州のいわさきグループが建てた大リゾートホテルだ。
素朴な屋久島にはまったく似付かわしくない、恐ろしく『リゾート』なホテルだ。
広大な敷地を誇り、元々あった山を切り崩し、人口の庭園だの散歩道だのを作ってある。
民宿やペンションが主流の屋久島の中にあって、異彩を放つ存在と言ってもいい。
もちろん宿泊代もバリバリ異彩を放つくらい高い。

去年、このホテルに行ってギョ!っとしたのは、そのロビーにそそり立つ縄文杉の
レプリカを見たときだ。なんでもハリウッドの大道具さん(セットクリエーターとか
言うのかな?)に依頼して、縄文杉の樹齢7200年にちなんで、7200万円をかけて
作られたらしい。あぁ〜〜あ。
地元に住む自然を愛する人達は、このレプリカに対してかなり批判的である。
まあそらそうだろうな。確かにサイズや形は本物そっくりでも、見たときの印象は
美人女優とイグアナくらい差があるものな。はっきり言って醜い。
しかし・・・
本物を切って持ってくることから考えれば、レプリカで良かったと思う。
それくらいのアホなことは平気でやりそうな人はいるに違いない。
ひょっとすると、本物を持ってくることを計画したが、物理的に無理ということが
分かり、レプリカで我慢したのかもしれない。いや、きっとそうに違いない!
まあ、そんなわけでそれほど気が進んだわけではないが、可愛いスタッフが飯を
食いたいと言っているのだ。行かないわけにはイカンでしょう。
ホテルに到着した我々は正面玄関からロビーに入り、フロントへと歩を進めた。
ロビーの自動ドアが開いた瞬間から、ホテルの従業員達に緊張の糸が張りつめたのを
感じた。きっと
『オカシナヤツラガキタゾ!』という無言の警報警報が発令されたのだろう。
そんなことにはおかまいなしに、『朝食はどこでとれますか?』と丁寧に訊ね、
場所を確認するとスタスタとレストランに向った。
入り口にはマネージャーらしき男性がにこやかに団体客を招き入れていた。
我々の存在を見つけると同時に、笑顔が凍った。明らかに凍っている。
「あ、あの〜〜、宿泊のお客様ですか?」
「いいえ。朝ご飯食べに来たんですけど、いいですか?」
「あ、あ、、、ど、ど、どうぞ。」
どうやらあまり歓迎されていないようだ。本来なら、ねえもう帰ろうよ、と
言いたいところなのだが、今さら引き返すわけにもいかない。いくら普段朝飯を
食わないとはいえ、うまそうなものを目の前に置かれたら迷わず食ってしまう方である。
朝食はバイキング形式で、和洋共に品ぞろえも豊富で美味しかった。
ビールを頼みたい気持ちを押さえつつ、食事を堪能し、クソ高い勘定を払い、
帰りにニセ縄文杉の前で記念写真を撮った。

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